6アビリティーのグラフ表示【小学校中学年(2~4年)】

どうもM2です。

今回の6アビリティーのグラフ表示はジュニアを取り上げます。ジュニアにも多くのパターンがありますが、代表的なものを複数例示します。まずは1つ目です。

小学校中学年(2~4年)。この頃というは、多くの子が体を動かすこと・汗をかくことが好きです。鬼ごっこを楽しくやっている時期です。なので、レッスンでは運動量を多めにしても一生懸命ついてきます。ただし、体もまだまだ小さく筋力も乏しいのでラケットを扱うことが難しく、9割程度が足踏みをしならがボールをラケットに乗せて10秒間キープできません。

それではグラフをみていきましょう。

6アビリティーをそれぞれ10段階で評価しています。初めてのレッスンが開始時として青線。1年後にオレンジの線のように伸びていくと予測したグラフになります。

運動速度調整力

ゴールデンエイジ(子供の運動能力が著しく発達する時期)のなかのプレ・ゴールデンエイジ(5~9歳)にあたる年代です。この時期は筋力の発達よりも神経系の発達が顕著なので運動速度調整力は大きくは伸びません。

運動空間認知力

多くの子供たちがこの能力を伸ばすことから、ゴールデンエイジの理論が正しいと感じます。決まった場所に球出しをしてもラケットに当てることができなかった子でも、ボールを追いかけ続けることで当たり始めます。はじめからできる子(能力が高い)もいますが多くはありません。

運動動作再現力

運動空間認知力と同じく、始めたばかりでは能力が低い子が多いのですが、毎週毎週高くなっていく子が殆どです。例えば、同じ場所に球出ししたボールをフォアハンドロングで返球する場合、はじめは1球ごと違う方向に飛びアウトしてたものが、徐々にフォアサイドにある網に入れることができ始める。これは、「網に入れるためのラケットコントロール」を同じ動作として再現できているからです。他にも、バックハンドロングで打球後に腕を伸ばせと伝えてもできなかったのが、できるようになり声をかけなくても繰り返すようになります。

運動基本フォーム力

中学年では、トップ選手の名前を知らない子も多く、卓球を見る機会が少ないため、卓球のフォームを明確にイメージできていないケースがあります。なので、ほぼ全員が0と言ってもいいです。しかし、神経系の発達が著しいプレ・ゴールデンエイジは「即座の習得」という動きを見様見真似で体得していく力が高まっていく時期です。そのため、大人に比べると、フォームをイメージできた子からどんどん正しいフォームを覚えていきます。しかも、それが突然起こることもあるため、見学に来る親御さんが急に卓球らしい打ち方をし始めることに驚くことがしばしばです。ここに、スクールで習うことの最も大きな価値を感じる瞬間でしょう。

運動脳力

ジュニアのクラスでは、中学生に対しても沢山の質問をします。そのことで意識的に運動脳力を鍛えていきます。よくある質問に、「どうして狙った方向から右にそれたの?」があります。これに即座に答えられる子はほとんどいません。たいがい「右にボールがいったから」と返答します(笑)こちらの質問に対して珍回答を連発して可愛いものです。しかし、このやりとりがスポーツとは何か。運動とは何か。卓球とは何かを理解していきます。はじめは答えられなかった子が正しく返答できるようになることと卓球の上達は比例しています。なので、私はただ教えるのではなく自分で考え納得いったうえで体を動かしボールを打ち返すことが、この時期に最も大切だと考えています。

運動学習力

小学校中学年になると運動学習力は個別差が大変大きく現れます。性格にもよると思いますが、上達への意識が高く「勝負をしたい」「点数をとりたい」という子もいれば、何となく体を動かす・ボールを打つだけで楽しいと感じてる子もいます。はじめは、卓球というとらえ方では無くボール遊び感覚なので、こちらからの「なぜそうするの」の質問に上手く答えることができなくても、徐々に理解が深まり正確な回答をし始めます。それと同時に技術の習得も高まります。次第に上手くいく方法を体を使って考え始め、例えばラリーを続ける目標数をクリアすることを楽しんだり、ゲームをして点数をとる楽しみを覚え、スポーツとしての卓球を意識するようになります。この段階から高学年に入り継続すると、中学での卓球部へ進む子も数多くいます。本来、人間は体を動かすことが好きです。そして、できなかったことができるようになるという実感。さらに難しいことに挑戦していく欲求の高まり。自ら考えて習得するという思考は人生においても非常に役に立つことだと考えます。

私には息子がいますが保育園児に運動教室に通っていました。この教室は規模が大きくたくさんのお子さんを見る機会がありましたが、全員が指導員の言うことを素直に実行していました(理解できず違うことをする時はある)。当然、指導員のスキルが高いことも影響しますが、注意されて𠮟られるというシーンを殆ど見ることはありませんでした。まだ、悪ふざけをしたいという欲求が少ないのです。

しかし、小学校中学年になると2割くらいの子がコーチの言う通りに行わなかったり、悪ふざけをしてしまいます。例えばバックハンドをするように指示をしても全てフォアハンドで打とうとしたり、強くボールを打たずに当てるだけだと言っても全力でフルスイングしたりします。はたから見ると言うことを聞けない子と映るかもしれません。コーチも問題行動ととらえてレッスン運営が非常に難しく感じます。

こういったケースの場合、6アビリティーのグラフは下記のようになります。

各能力伸びがかなり小さくなることが分かると思います。コーチの指導は、当然技術の向上を目指すものとなるので、この運動学習力が伸びていかない限りは伸ばすことが困難です。また、これは卓球に限らず普段の生活(学校の体育)でも同様であるはずなので、例外なく基礎的な運動が未熟であるため開始時の数値も全て低いのです。では、なぜ運動空間認知力だけ伸びるのかというと、ボールをたた打っているだけで本人の意識とは関係なく伸びていくからです。他のお子さん達と一緒にボールを追いかけ、打ち続けると基本フォーム力は覚えようとできなくても、ラケットにボールを当てる、当てて相手コートに入れる。コーチとラリーを続けるという行為は少しずつできるようになるのです。その点では、運動速度調整力もやや伸びが見られます。

運動学習力とはでも述べていますが、このケースでは上達が見込めないことをコーチの責任にしてはならないと考えています。間違いなく誰が行ったとしても結果は同じです。ただし、誤解がないようにしていただきたいのは、子どもの場合は、長期的にレッスンを継続することで運動学習力は伸びていく可能性が十分あるということです。コーチが諦めて適当に指導をしてはならないのです。本人は、自分が何をしているのか?何をしたいのか?何をしなければならないのか?が分かっていないだけなのです。これは推測ですが、幼児期から成長していく脳の発達が遅れているからだと思います。例えは悪いかもしれませんが、皆さんは、痴ほうの高齢者を指導して思ったように行動してくれないことに対してキレますか?イライラすることはあっても、仕方ないと思えるはずです。これと同じように、「今は仕方のないのだ」と冷静に対処し、これから成長するんだ。成長を手助けできる可能性があるんだと思うことができれば、適当なレッスンはできなくなるはずです。

私の経験上、ボールを全く打ちに行かない、全く動こうとしないお子さんはいません。もし、そうだとしたら辞めているはずです。楽しいと少しでも感じているから来ているのです。なので、形はどうあれコーチとラリーが少しでも続くようになっていれば、運動空間認知力・運動速度調整力は伸びていきますから、本人の中に「できるようになっていく自分」が芽生えれば運動学習力が徐々に伸び、それに伴って他の能力が伸びて、最後に運動基本フォーム力と続き、ようやく「卓球をしている」という状況にもっていくこともできるのです。

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