どうもM2です。
6アビリティーについて、それぞれ概要を解説してきました。
この理論が非常に便利だと思うことに、どの受講者がどの能力が高くて、どの能力は今後伸びていく、だからどのようにして指導したらよいか。といったことがコーチ間で具体的に会話ができることです。
例えば、20代男性のテニス中級者を6アビリティーで評価すると次のグラフになります。
運動速度調整力
テニス中級なだけあって、高い数値です。例えばスマッシュを打たせたり、早い速度でフットワークをさせても十分対応。受講者同士でラリーをさせたら、相手の方が返しやすい遅いスピードに調整することもできていました。
運動空間認知力
ゆっくりなラリーであれば、どこに打っても空振りせず返球してきます。ただし、曲げたボールや高く打ち上げたボールにはミスがでるため、変化のあるボールを完全には把握できません。
運動動作再現力
こちらも高い数値です。下回転を出すとネットミスをしますが、ツッツキのフォームをこちらが示すと真似るだけですぐに返球できます。ただし、バックハンドがテニス打ち(体が左を向き、左の空間で打つ)になる、ラケットヘッドが上がったフォアハンドを修正するようにいっても、その癖はとれずラリーの中では卓球の正しいフォームでは打てません。
運動基本フォーム力
習ったことのない方なので、この6つの能力の中で最も低い値です。
運動基本フォーム力とは①でも述べましたが、一般的に卓球を見る機会はトップ選手の試合映像です。彼らが基本フォームでプレーすることはほぼありませんから、イメージでプレースしても基本フォームにりえません。本人も指導者も勘違いしやすいのですが、いくらラリーが続くからといっても「基本ができない初心者」なのです。
運動脳力
いくら運動経験が豊富でも、下回転がどうして下に落ちるのかを初めから知っている人に会ったことがありません。この方もテニスに関してはこの能力が高いかもしれませんが、初めての卓球なので「なぜこうなるのか」を知らない状況では数値が低くなります。
運動学習力
この数値が高いので、おそらく今後もコーチからのアドバイスを真摯に受け止めてレッスンを継続することで順調に上達します。逆に、運動経験が豊富なのにこの数値が低い方がいます。フィジカルで勝負するような競技経験者。例えば、サッカーやバスケットなどの中・上級者で、卓球を「簡単なもの」と馬鹿にしている方がいます。自分に自信がある分、アドバイスを素直に聞き入れずプレーしてしまいます。結果として思ったほど上達をされません。ここに性格や取り組む姿勢が関係してくるのです。
上記のように、開始時では低い数値がありますが、レッスンを継続することによって、特に基本フォーム力を習得していくことでラリーの質が上がり、1年後にはテニス打ちから卓球のフォームへと変化すると予測がたちます。その後も継続してけば、下回転や横回転のメカニズムを理解していくことで、さらにグラフの数値は拡大し中・上級者に向かうことも可能だと判断できます。
6アビリティーは、対象者の現時点でのレベルをグラフ化することができます。卓球に関しての能力を分析できると、何を伸ばしていけばよいのか、今後どこまで上達する可能性があるのかを予測がつくので、指導者側としても大変有効なのです。
次回は、別の方を事例に6アビリティーのグラフ表示を解説していきます。