どうもM2です。
前回の6アビリティーのグラフ表示では、「20代男性テニス中級者」を開始時と1年後にどのようになっていくかを例示しました。過去の経験からすると、このように運動能力が高い方が卓球を習いにくることは稀です。そして、習ったとしても長期間続くかたは殆どいません。
今回紹介するのは、逆に卓球を始める、長く続ける層の方の例です。
70代女性運動未経験者。おそらく卓球界は、この方々に支えられているはずです。地域の体育館・公民館に行くとよく分かりますが、沢山いらっしゃいます。
なぜそうなのか??私が思うに、卓球はケガが少なくて簡単なスポーツだからです。
まさか、この年齢をターゲットにアイスホッケースクール作って受講生バンバン入ってたら、、、、。ある訳ない。
卓球の指導者の多くは、この層の方がを教えることが多いので大変だと思います。その理由を6アビリティーのグラフで説明します。

6アビリティーをそれぞれ10段階で評価しています。初めてのレッスンが開始時として青線。1年後にオレンジの線のように伸びていくと予測したグラフになります。
運動速度調整力
運動経験が少ないため、体を速く動かすことがほとんどできません。全て遅い動作になります。年齢の影響も大きいですが1年後もこの数値は若干の変化しか見込めません。
運動空間認知力
卓球台の上でボールつきができない。ボールを投げても手でキャッチができない。球技経験の無いの特徴ですが、ボールがどのくらいのスピードで動く(落下)かの感覚がないのです。反対に、ボールを的に向かって投げてもらっても、同じ場所にいかない。これは、距離に対してどの力加減が必要か分からないからです。ラリーをしても、初めのうちは空振りばかりが続きます。レッスンを継続することで、この能力は若干は高まりますが、曲がるボールなどに対応することは困難だと予測できます。
運動動作再現力
準備体操が思うようにできません。こちらが示した動作を見様見真似でしてもらうのですが同じ動きでついてくることができません。この場合、視覚情報を体で表現できないので、当然、卓球のフォームを見せても同じ動きができません。また、一度できた動きがあっても、次の週には元にもどっているケースが多く、基本フォームの習得にも時間がかかり、1年後も下回転やドライブなどの技術の習得が困難です。
運動基本フォーム力
ボールつきができない方が、フォアハンドやバックハンドを初日に覚えることは私の経験上ムリです。手取り足取りやったとしても、それを外した瞬間にできませんので、レッスン開始時の数値は0です。しかし、その他の能力より比較的伸ばしやすいのも事実です。例えばフォアハンドであれば体の横で打球しておでこ付近までフォロースルーして打つことが95%以上の方ができるようになります。明らかに、ボーリング場でピンポンをやっている若者よりも理にかなったフォームでラリーします。ぎこちなさは残ったとしても、地道に何度も繰り返し基本フォームを正しく繰り返すことで殆どの方が成果をだせるものだと私は考えています。(コーチの努力が必要ですが)
運動脳力
この方のように運動経験が乏しい方は、運動が上達するにはどうしたら良いかが分からない方が多いです。例えば、「ボールつきができない理由が、ラケットの傾きで同じ場所に落下できない」だと分かれば、インパクトの瞬間にコントロールするはず。しかし、この理由を探そうとしないのです。上手くいかない事実だけに??がつくだけです。私がなぜだと思います?と聞いて初めて「う~~ん」となる。運動の経験があれば、課題の解決を探る行動や思考が働きますが、これがないと技術の習得はなかなか困難です。そして、個人差はありますが、高齢の場合には何年してもこの能力が伸びない方が多いのも事実です。
運動学習力
ご高齢になって卓球を始める方で、やる前から試合で優勝するとか、選手として活躍する夢があるとか、普通に考えて稀です。さすがにご自身の体の状況を考えると負担が大きいはずなので、多くの方は健康のため、生涯にわたって何か趣味を持ちたいといった希望をもっています。運動を習得するには、それなりに苦痛を伴います。なぜなら、自分の体なのに思うようにいかないことを繰り返し行わなければ結果がでないからです。これが、子供の場合は違います。どんどんできることが増えていくので、ある程度難しくても「もう一回頑張る!!」となりますが・・・。特にご高齢の場合には目的意識が競技的になりにくいので、できる範囲で、できないことは無理しない。このような取り組みの姿勢なので必然的に開始時も1年後も変化は大きくみられないのです。
いかがでしたでしょうか?卓球の指導者も含めて運動を教える方ならば共感できることが多いと思います。コーチを始めたばかりの私は、「なぜ、上達できないんだろう」と悩んだ時期もありましたが、6アビリティーで能力を分解していくことで、指導者側の限界値が納得できるようになりました。なので、変に落ち込む必要もないとも思えました。運動学習力の記事でも述べたように、はたからみて上達していないことを全て指導者側に責任があるという考え方に否定的です。もし、このご高齢な方のように6アビリティーで各能力が低い状況を変えるには、特訓という手段しかありませんし、趣味で楽しむなんて甘い考えは一切捨てて、毎日毎日、努力・根性、週3回のジムで筋力を30%アップでやってもらう必要がでるでしょう。そんなことをご本人が望むでしょうか???
そんな訳はないです。ここで重要なのは、無理のない範囲で楽しんで卓球が続けられるのかです。その意味では、基本フォームは美しいだけでなく、体への負担を減らした打ち方になることにつながるので、お金を払って指導をうけるだけの価値があると考えます。
以上のように、6アビリティーでとらえると現時点、将来にわたっての上達についても予測がつきますし、受講者の目的意識も正確にとらえることができればご本人が無理だと思っていることを、なんとか上達させると指導者がムキになることも、上手くならないと落ち込む必要もないのです。もし、指導者側が責任を感じるとするならば、基本フォームも全く良くならない、ご本人も楽しめていない。来週からボーリングに通ううので辞めさせてもらうわ。と言われた時です。