どうもM2です。
健康のために卓球を再開される方のなかで、元ペンホルダーで「せっかくやるならシェーク」と、新たな挑戦をされる方々がいます。年齢を問わずいらっしゃるのですが、今回は70代男性という想定で解説します。
※6アビリティーをそれぞれ10段階で評価しています。初めてのレッスンが開始時として青線。1年後にオレンジ の線のように伸びていくと予測したグラフになります。
運動速度調整力
過去の運動経験によって個人差がありますが、男性の場合は社会人になっても、テニスやゴルフなどのスポーツをされてきた方が多くいます。運動未経験の女性よりはこの数値は若干高くなります。しかし、年齢的にも大きく伸びません。
運動空間認知力
長年、卓球から離れていたとしても、再開直後は上手くいかなくても、すぐに感覚をとりもどしラリーで空振りなどはしなくなります。全くの未経験者よりは数値は初めから高いのですが、さらに伸びてはいきません。
運動動作再現力
ペンホルダーとシェークハンドではバックハンド系の打ち方が大きく異なります。ペンホルダーは肘の位置を前後に動かし押すように打つのに比べ、シェークハンドは肘を斜め上方向に動かして万歳をするようにラケットを振ります。個人差が大きいですが、運動動作再現力が低い方は、この振る動作が全くうまくできすペンホルダーの押す動作しかできません。年齢とともにこの能力は伸びにくく多くの方はシェークハンドの振る動作ができません。
運動基本フォーム力
運動動作再現力で述べたバックハンドに関連しますが、フォアハンドはフォームに差異がないので伸びしろはありません。バックハンドはシェークハンドの基本フォームが身につかないので数値の変化は1としています。緑の点線は、もし運動動作再現力が仮に高かった場合に、振る動作を習得できたとして大幅に伸ばしています。しかし、こうなれる方は稀です。
運動脳力
元卓球部の方の場合、その当時のレベルにもよってきますが、例えば横回転という高いレベル技術を習得してた場合は、卓球を理論的に理解をされている方が多いです。全くの未経験者よりも当然数値は高くなります。
運動学習力
ペンホルダーからシェークハンドへ。長期間のブランクで卓球は大きく進化している。この現状からシェークとして上達をしていくことに運動学習力は大きな影響があります。なぜなら、新たな動きは「今までのやり方を、まず捨てる」から始まるからです。ここに過去の経験やプライドが邪魔をします。例えば、シェークハンドはやったことが無いけれど卓球はできるから初心者のコースは嫌だという方。6アビリティーでは、運動脳力がいくら高くても基本フォーム力が低い(0)のなら初心者であるととらえています。ここを理解できずにシェークのバックハンドはやりながら覚えるというスタンスでは、バックハンドドライブを習得できずに終わります。このことを説明して納得できるから否かは、この運動学習力にかかっているのです。また、数十年前の卓球よりも現代卓球はバックハンドの率が高く、卓球台から下がらずにプレーします。どうしても下がってフォアハンドを多用する傾向にあり、これを修正するにも過去の自分の卓球経験を捨てる必要があるので、新たなことを受け入れる柔軟な思考と行動が大切になります。
昨今の卓球ブームで、また卓球をやりたいと思われる方は、年代・性別を問わず多くいらっしゃいます。そして、40年も前は、シェークハンドよりもペンホルダーの方が多く活躍していました。時代が変わり、新たにやり始めるというのは新鮮ですし指導者側としても大歓迎です。しかし、イメージ以上にバックハンドの打法が全く異なり、ほぼ全員がこの課題にぶつかります。なので、ここをクリアできるかどうかは、運動動作再現力の能力の高さと運動学習力の過去を捨てらえる柔軟性と素直さによって、シェークハンドとしての上達は大きく変わります。私の過去の経験からすると、高齢であればあるほど、「ペンホルダーの方がシェークハンドで打っているように見える」というのが残念ながら現状です。その方の思考を変えることは困難ですからここは、指導者側としての限界を感じるところであり、その責任もないと考えています。