運動脳力とは

どうもM2です。

このブログでは、私が卓球初心者の方を何百名と指導してきた経験から導き出した、「上達」に必要な運動に関する能力(アビリティー)を紹介しています。現在、卓球の指導に携わっている方、特にご自身の経験が浅い(もしくは無い)方に、何が原因で上手くいかないのか、どこをポイントに指導すれば良いのか。これらを具体的な事例をもとにを発信していきます。そして、この6アビリティーはエキスパートを目指すのでなければ、どんな競技の指導者でも応用可能な理論だと考えています。

今回の内容は、非常に重要なのにほとんどの方が意識を向けない能力。

「運動脳力」

これは、私の完全なる造語です(笑)

その証拠に、2022年3月8日時点でこのままググってみると・・・。

・脳を鍛えるには運動しかない(書籍の紹介)

・「脳力アップ」と運動の知られざる関係(雑誌記事の紹介)

・スポーツで頭が良くなる?(日本財団のホームページ記事)

が上位3つで、この他にはDS東京フレンドパークⅡ(ゲームの紹介)などがありました。

これらは全て、「一般人は知らんでしょ。実は運動すると脳にいいのよ。科学的に証明されてるんよ。だから運動は脳にいいの」を伝えたい記事です。

やった~~。私の造語はまだググってもでてこない。今は私の言語なのです。(ニヤリ)

運動&脳のワードは、運動の効能について、もっと一般化して多くの人にスポーツをしてもらい、子供であれば成長。大人であれば健康。高齢やであれば健康寿命といった、より豊かな生活への知識といったものが主流です。

運動脳力は「運動すれば脳がよくなる」ではない

私の「運動脳力」は、全く違う内容をさしています。

これは、「指導を受ける方がいままでにどれくらい運動に関する知識や経験をもち、指導者が伝える内容をどれくらい理解・イメージできるのかの能力」です。

だから、能力ではなく脳力としました。運動は脳にいいです。健康です。とは全く異なる視点での言葉です。

実際に体を動かしているのを見ることができる「運動能力」は、高い・低い、できている・できていないが明確です。しかし、私の「運動脳力」は、最終的には会話をしなければわからない力なのです。

具体的な会話の事例を示しましょう。

  • 「手の甲を上・下とひっくり返すときに、どこの関節を使ってますか?(私)」 実際にやってみる。                Aさん:手首                                                 Bさん:わからない                                                     Cさん:肘                                         
  • 「ラケットでバックスピンをかけて壁にあててみます。このボールどうなるでしょう?(私)」                    Aさん:わからない                                                       Bさん:まっすぐ跳ね返る                                                     Cさん:下におちて戻って来る
  • 的をおいて、ボールを打って左に外してみる「狙ったのに、なぜ左にいったのでしょうか?(私)」     Aさん:左に打とうとしたから                                               Bさん:ラケットの向き                                                 Cさん:ラケットを少し左に向けて打ってしまったから
  • 「ラケットでボールをカーブ(左に曲がる)させます。ボールのどこを打てばいいでしょう?(私)」                    Aさん:わからない                                          Bさん:わからない                                                   Cさん:(自分からみて)右側

Aさん、Bさん、Cさんはすべてが同一人物では無いですが、本当にあったやりとりです。

皆さんは、この中で運動脳力が高いのはどの方だかわかりますか?

そうです。Cさんです。Cさんは全問正解者。Cさんは体はどのように動いているのかが分かっていて、球技の経験や知識もあることが想像できます。

もし、この3名の方が同じグループで、全く同じ指導内容でレッスンをしていくと、間違いなくCさんだけが課題をクリアして技術習得していき、残念ながらAさんとBさんは時間がかかります。

「当たり前だろう」と思う方もいるかもしれませんが、ここで指導者側にとって大変重要な視点があります。

もし、あなたがこの3名を指導するとした場合、Cさんだけが可愛くって、Aさん、Bさんの上達をあきらめたりしませんか?もしくは、過去にそうしてしまったことは無いでしょうか?

運動脳力の違いが上達の差を生む

過去記事基本フォーム力①でも触れましたが、運動は脳の指示によって行われています。

したがって、脳が正しいイメージをもって自発的に「運動(自分の体を動かそうする)」をしなければ、なぜ「自分はこれをやっているのか?何のためにこれを練習しているのか?」が無く、指導者が離れた瞬間に再現性が低くなるわけです。

こんな事がよくあります。

先ほどの「的をおいてボールを狙う」を、やり方とコツも伝えたうえでAさんに練習をしてもらい、その場から離れます。しばらくして様子をみてみると、①ボール籠からボールを取る ➁ボールを打つ ③ボール籠からボールを取る ④空振りをする ⑤ボール籠からボールを取る ⑦ボールを打つ ⑧ボール籠からボールを取る

・・・・。以下、ループ。

どうでしょう。

的見てないし、当たったかどうかも確認してないやない。

「Aさん。的狙いますからね。当たったかどうかも見て下さいね~~(私)」

「あぁ、そうだった。あはははは(Aさん)」

この練習はラケットの角度と力加減のカンを鍛える練習なのですが、的を狙わない限りその意味はありません。

これでは、ラケットに当たるかどうかの練習になりますよね。

このように、どんなに優れた指導方法をとったとしても、人によってそれ自体を実行するための意義や効果を理解する脳力に差があり、全く同じ指導をしたとしても、技術の習得ができる人・できない人に大きな差が生まれるのです。

最良の指導方法などない

私も、初めのころは「なぜ同じ指導法をしているのに、こんなにできる人とできない人に差があるんだ?」と悩んだ時期もありましたし、「体を動かすことが苦手だからだ」「運動音痴って本人も言ってたから」と表面上の理解で片付けてしまっていました。

恐らく、私だけでなく多くの指導者が同じではないでしょうか。「私の指導法は良いはず」。だから、できる人は可愛くて、できない人は・・・・無理かも・・やる気ないかも・・。と指導者側が感じてしまいます。

私は断言できます。最良の指導方法などない。

なぜなら、指導される側の運動脳力に差がある以上、人によっての「良い指導」が違うからです。もし最良の指導法があるとするならば、それは「人それぞれにあった指導法の引き出し(種類)を多く提供できる指導法」でしょう。

そう捉えると、複数人の指導をしている場合、Cさんのような方が多いグループの練習をみて「これは良い指導方法だ」、逆にAさんやBさんのような方が多いグループを見て「上手くいっていない。この指導法は良くない」と1度や2度の練習風景で判断するのはナンセンスです。

運動脳力を高めるという視点

以上のように、上達するのは指導方法だけが問題ではなく、受講者側の力の影響が大きいとお伝えしてきました。だからといって、受講者が良くないかから上達は無理。あきらめましょう。と言っているのではないので誤解しないでください。

この脳力は能力(アビリティー)だととらえるわけです。これ自体を指導する・練習するのです。今は低い現状でも伸ばしていけば技術の習得も早くなる。できるようになる可能性が高まる。と考えるのです。

科学が証明する「走っていると、何かの物質が脳から分泌されて、記憶力が高まります。明るくなります。健康になります」みたないものではないのです。まさか、ランニングをして脳が鍛えられたから、スマッシュの精度が上がることはありません。

しかし、この運動脳力を鍛えれば、自分自身で運動を理解し、脳から「こうやって動かすぞ」と指令をだせるようになります。私は、上達が早くなる例を何度も見てきました。そして、その高まった能力は一つの技術にではなく、技術習得全般に好影響を及ぼしていくのです。

これこそ「脳を鍛えるには運動しかない」ではなく、「脳を鍛えたら運動ができる」なわけです。

これは受講者が持っいるのともっていないのでは、大きなさがあるのす

ということで、グーグルさんで検索して1ページ目に表示されるようになったらお祝いしたと思っています。

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